櫻井郁也 / 十字舎房  ダンス公演情報                                                                       English follows below


Dance and Art unit


SAKURAI IKUYA/CROSS-SECTION


Stage Information


ご来場、ご支援、心より感謝を申し上げます。ダンサー・櫻井郁也による公演活動のご案内をいたします。We will inform you about the performance activities by SAKURAI Ikuya.

 踊りは、限りない沈黙から生まれたのではないか。そう思うことがある。はじめて思ったのは社会主義体制末期のポーランドでアウシュビッツ収容所跡を訪ねたときだった。経験したことのない空洞を自分の内部に感じた。悪寒のなか、なぜか無性にこまかく何度も何度も足を踏んでいた。空っぽの心のまま、足踏みをした。リズムを探し、みつからなかった。何年後だったか、ある男が小学校に侵入して沢山の子どもたちの命を奪うという事件があった。犯罪という単語で片付けることができない何かを感じ、またあの空洞があらわれた。そしてすぐ、あの9.11があった。そして、そして、、、。


 いつしか、戦争やテロや天災にくわえて、日常の中にも危機を感じることが度重なっている。世界のバランスが揺らいでいるのだろうか。命に対する感覚が狂い始めているのだろうか。このいまを覆う殺伐たるものから、空洞がくりかえし出現し、沈黙が身を突く。イマココは音も声も騒々しいが、その背後には沈黙が押し寄せ真っ暗な空洞をひらいている。言葉が渇いてゆく。からだが、いのちが、遠ざかってゆく。沈黙のなかで心をさがす。かたや、沈黙は予感に満たされているとも思う。命が生まれる瞬間の沈黙。母胎から螺旋をえがいて赤ん坊が出現するときの沈黙。ひとつの草の芽吹きに気付く一瞬の沈黙。はじまりには沈黙が響き渡る。そう感じる。私は沈黙から生まれ、いつか沈黙に還ってゆく。


 日常、死を想うことが増えた。生を探すことも。その累積がこのダンスに結びついた。何かが始まろうとするとき、終わろうとするとき、沈黙はおとずれ、その沈黙の奥のほうに、そこはかとない、音にも声にもならないものが轟いている。遠い声、心の声、死者の声、物質の声、時間の声、生まれていない声、まだない声、どこにもない声、それから。


 ない声をきく。たとえば灰に、その散る風に、もうない、まだない、言葉を、きく。その沈黙に、かつて灰となったものすべての失われたすべてを、まだ生まれないものすべての、未だ無いすべてを、さがす。 もうない、まだない、光を、みつめる。ない神にいのる。


 沈黙すればするほどに聴こえてくる声が、あると思う。遠い声、とおい、はるかな、聴こえない声のなかに、ない声のなかに、本当の言葉が、あるのではないかとも思う。死者とともに消えていった言葉、語られなかった言葉、語り得なかった言葉、それら、うしなわれた言葉たちに耳を澄まそうとするとき、身体すべてが鼓膜になって、ダンスの到来を受動するように思えてならない。


 沈黙のなかに立つ。

 極度に、極度に沈黙して、

 遠く透明にとどろくものに、身を投げる。                      (櫻井郁也 2019)


■近作記録 Previous performance 前回公演の情報と創作テキストの一部です。)              



櫻井郁也ダンスソロ

沈黙ヨリ轟ク

SAKURAI IKUYA DANCE SOLO

DISTANT CRY

 2019年秋公演(上演済み)

11/9(土) 10(日) 2019  at plan-B 〈東京・中野〉

9th and 10th November, 2019 at plan-B, Tokyo

Production = CROSS-SECTION,  Coproduction= plan-B

  

櫻井郁也は、舞踏のパイオニアの一人である笠井叡に師事ののちコンテンポラリーダンス/舞踏のフィールドにおいて1997年から独立した公演活動を行なってきたダンサーで、コンスタントな独舞上演を通じて「個」からはじまるもの、「ひとつのからだ」による表現の可能性を追求し続けています。

 本作『沈黙ヨリ轟ク』は、 日常にひそむ危機の感覚をめぐる思索の積み重ねから生み出された作品であり、 3.11直後の心象を踊った『方舟』(2012:ルクセンブルク)、原爆70年忌に捧げた『弔いの火』(2015:長崎)に続き、現代における生者と死者の関係を問う、重要な作品となります。

 いかなる時代精神のなかで私たちは生きているのか。いかなる危機を私たちは個々の内部に孕んでいるのか。問いと思いが暴発し、現代の生命観を問う鮮烈なダンスが紡ぎ出されます。


  

■上演データ■ 


公演名:櫻井郁也ダンスソロ『沈黙ヨリ轟ク』

ちんもくよりとどろく 


出演・構成・振付:櫻井郁也

美術・衣裳:櫻井恵美子

照明設計・音響制作・作曲・演奏:櫻井郁也

オペレーション:櫻井恵美子、 新多至

スタッフ: 秋葉美香、 新多至、柴田花子

企画制作=十字舎房

共催=plan-B


日時 2019年 11月9日(土)20:00開演 、11月10日(日)19:00開演   

会場  plan-B  東京都中野区弥生町4-26-20モナーク中野B1 Tel 03-3384-2051(公演日のみ)

access

□東京メトロ丸の内線中野富士見町駅下車徒歩7分。中野通り沿い、ジョナサン中野弥生町店のすぐ先。 地図 Map

□JR中野駅南口よりバス10分(京王バス1番 渋谷行/新宿駅西口行「富士高校前」下車スグ)

渋谷駅よりバス30分(47番乗り場・京王バス [渋63]幡ヶ谷経由 中野駅南口行・富士高校下車スグ)

□新宿駅よりバス20分(西口20番乗り場・京王バス [宿45] 中野駅南口行・富士高校下車スグ)


お問合せ▶juujishabou(at)gmail.com=十字舎房  ※(at)→@

 

 本作を含む、東京〈plan-B〉での櫻井郁也ソロシリーズは、2001年9.11同時多発テロ事件に触れて上演された《非暴力と不服従のダンス》を起点に、現在19年目の継続となります。 観客とダンサーが接近する空間で展開される高密度のダンスパフォーマンスは、個人が個人を見つめるダンスの現場として毎回高い評価を得ており、ポルトガル招聘公演(2006)、ルクセンブルク招聘公演(2012)、長崎原爆70年忌公演(2015)をはじめ、 海外公演や国内主要芸術祭などにもつながる活動基盤となってきました。


研ぎ澄まされた肉体表現を、ラディカルな世界観とともに展開される刺激的なダンス空間を、このソロシリーズでは継続的に、徹底的に追及します。ぜひ、その現場を体験して下さい。

               (十字舎房・制作部)



 LINK:過去の作品についての文章 

title】

SAKURAI IKUYA DANCE SOLO " DISTANT CRY"

staff】

Dance, Choreograph, Lighting design, Sound and music composition = SAKURAI Ikuya,

Art installation and Costume = SAKURAI Emico,

Production = CROSS-SECTION,  Coproduction= plan-B


schedule】

Saturday,9th Nov. 20:00 start / 19:40 open

Sunday, 10th Nov. 19:00 start / 18:40 open                                         

dur.=within90min.

venue】Alternative space "plan-B"

  (4-26-20 Yayoicho nakano Tokyo) MAP

【Fee】

・Door=3,000 yen

・Reserv=2,800 yen(pay on the day at theater)

・Student Reserv=1500 yen (need ID)


Ticket & Contact】


CROSS-SECTION_Email 

※Need ①your name,②date (9th SAT. or 10th SUN.) ③attendance number ④name of all visitors ⑤ your adress and phone.

Ticket form

●Contact on the day of the performance=TEL 03-3384-2051(plan-B)

©CROSS-SECTION

CHILD OF TREE : 2014

©CROSS-SECTION

SAKURAI IKUYA DANCE SOLO

DISTANT CRY

9th and 10th November 2019 plan-B, Tokyo

















News and Gallery

Information from Sakurai Ikuya:櫻井郁也・ダンス最新情報    

more information, photo, text by artist

ステージ記録、ダンス写真、レッスン情報、エッセイなど、日々更新しております。


  

TORA LA LA : 2019

©CROSS-SECTION

©CROSS-SECTION

白鳥: 2018

白鳥: 2018

©CROSS-SECTION

©CROSS-SECTION

ENGLISH info.

Sakurai Ikuya is a dancer/choreographer based in Tokyo. He became a pupil of Kasai Akira . In 1997, he has created a company with artist Emico Sakurai a company “Sakurai Ikuya/CROSS-SECTION”. Until this date, he has created and performed more than 60 dance pieces, and also has been teaching professionals and amateurs, through exploring the new possibilities of butoh.


2000: Participated in "Theater X(cai)" International Dance Festival Tokyo. 

2001and 2006-2009: Participated continuously in  "Dance Hakushu" Festival directed by Tanaka Min.  

2002: Choreographed for NHK educational TV Program.

2006: Invited from 10th “a sul” Contemporary Dance Festival in Portugal. 

2012: participate in Echigo-Tsumari Art Triennale Niigata Japan.

2012: Invited from "Centre culturel régional Dudelange", and "Centre de Création Chorégraphique Luxembourgeois" , LUXEMBOURG.

2014: participated in Naka-Boso International Art Festival Japan.

2015: Invited from NAGASAKI for the Day of the Atomic Bombing.  Works  

Dance work by Sakurai Ikuya in 2019. This is a dance that focuses on the relationship between the living and the dead in modern times, and includes thoughts about madness and violence. This work will also suggest global destruction and our own mental crisis.


レッスン再開のお知らせ■

レッスン活動を再開いたしました。当面は少数での稽古となりますが、新たな参加者を募集いたします。(ご案内)

2020年 秋公演について■  2020年9月1日掲載


みなさま


 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、10月3日~4日に予定しておりました《櫻井郁也ダンスソロ2020》の公演開催を再延期させていただきます。延期日程につきましては、コロナ状況の様子をみながら劇場側と協議のうえ、見通しが立ち次第、当Webサイトにてご案内させていただきます。

 5月の春季公演の中止に続き、大変残念なのですが、コロナ禍による休止や低迷が長期化するなか、アーティストとしては無理にでも舞台活動を再開したいと望む反面、いかに力作を準備したとしても、いまはまだ、感染不安を感じながらの鑑賞になってしまうのではと存じます。上演作品もほぼ全貌をあらわしつつあるいま、踊りたい、観ていただきたい、という思いは強く、非常に複雑な心境ではありますが、上演環境の面でも、予定会場は決して広い空間ではないので、みなさまの一人一人に対して、不特定の方たちと一緒に1時間なり1時間半なりという時間をじっと座ってダンスを観てくださいということを積極的にお願いすることが、やはり、まだできない状態です。制作部では、上演作品のリハーサル進行と同時に、席数制限はじめ飛沫防止シートの設置や定期的な通風など空間的な面も含め、さまざまな対策を模索しておりましたが、現段階での東京都内および首都圏の感染拡大状況では、主催者ならびに劇場サイドといたしまして安全な興行とする確信が持てず、いましばらくの延期を判断いたしました。この時期をすごすなか、徹底的に踊りに向き合い直し、新たな公演開催に向けて進んで行く所存でおります。度重なる公演延期となりますが、関係者一同の苦渋の判断であることを、どうかご理解いただけますよう、そして、いましばらく、お見守りいただけますよう、心よりお願い申し上げます。先が見えない困難が続いておりますが、みなさま、ひきつづき、一日一日を本当に気をつけてお過ごしください。   

                                                                      櫻井郁也、十字舎房制作部、plan-B


 コロナ禍によって生活が変わってゆくこのありさまが、恐ろしく感じます。人と人の分断をいかに防ぐことができるか、あるいは、取り戻してゆくことができるか。いま僕らは、突然のこの危機によって何を失い、そして何を再起してゆくのか。そのようなことを考えさせられています。ささやかなことかもしれないけれど、この耐え難い空白の時間のなかで、この小さな身体の営みについて、そして長く関わってきた「踊り」なるものについて、もういちどアタラシイ出発を探し直したいと思っています。ひとつの身体が、どんなダンスを生み出すことができるか。来るべき舞台再開の日を、ご期待ください。                       

                                                                             櫻井郁也 2020夏

We have to sadly postpone the schedule of our performance again, due to the coronavirus situation. We will be considering to reschedule the date of performance while monitoring the situation. The updates of schedule will be announced on this website.We really hope the situation is settled early. Thank you for your continued support and we look forward to seeing you on the day of the next performance.   

                                                                      Sakurai Ikuya, cross-section, plan-B


2021年 新作公演日 決定=7/17〜18 (2021年1月31日掲載)

このたび、以下のように本年の公演開催を決定いたしましたので、ご案内いたします。

Next performance by SAKURAI Ikuya was decided  to be held in the following schedule.

ご案内 info.

NEWS  ただいまの最新情報(ほぼ隔日にて更新いたします) 

Voice of green : 2016

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